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文春文庫×エブリスタがお贈りする

〆切まであと二週間と少し!
「応募したけど、もっと魅力的に書けないだろうか?」
「今から急いで書こうと思うけど、どんなことに気をつければいいの?」
そんなあなたのために、文春文庫編集長 花田朋子さんに執筆の秘訣を聞く企画、第2弾です。
今回は「新人賞で落ちる作品にありがちなこと」です。
あなたの作品もチェックしてみてくださいね!

新人賞で落ちる作品にありがちなこと①「視点がバラバラ」
一番書きやすいのは一人称小説ですが、難点は主人公目線でしか物事を描けなくなること。どうしてもうまくいかないと、視点人物を変えることになりますが、変わりすぎると小説としてはどうしてもわかりにくくなります。視点人物はせいぜい3人に限定して、その範囲内で物語を展開してみてください。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと②「書きやすいところだけ書いて、取材・下調べが必要なものを省く」
 新人賞において差が出るのは、物語の大枠ではなく、ディテールがどれだけうまく書けているか。特に今回のように「バディ」「お仕事」というお題が決まっているときは、そのディテールをどう書くかが大きな違いになります。想像力はとても大事ですが、それを過信せずに、資料にあたったり、実際に舞台となる場所に行ってみるだけでも、より物語に厚みと空気感が出ます。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと③「ひとつの体験・エピソードだけで書く」
 自分のリアルな体験・エピソードはリアリティを出すために重要な手段です。しかし、それをそのまま書くだけでは広がりがなく、「こういうこともある」という感想で終わり、になってしまうかも。そこで想像力を駆使して、「あの時はああだったけれど、違う条件であればどうなっただろう」と考えてみたり、「自分が聞いた話はここで終わっているけれど、もし続きがあったとしたらどうなっているだろう」と考えを膨らませてみると、より楽しめる物語に発展します。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと④「キャラクターの思考回路が一方的」
たとえば登場する敵役を、主人公側から見て「一方的に悪」として語ってしまうと、ちょっと子供っぽい小説になります。悪役には悪役の事情があることを匂わせるだけでも、ぐっと物語に深みが出ます。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと⑤「人物を出しすぎてそれぞれのキャラクターが立たない」
話の展開のために登場人物を出しすぎて、それぞれのキャラクターが薄くなってしまう、というのも新人賞では陥りがちな罠です。印象が似たような人物が多いのはマイナスになります。必要な人物に絞り込んで、なるべくきちんと造形しましょう。


もちろん、ここに上げた条件に当てはまっていたとしても、作品に大きな魅力があれば受賞もあり得ますので、あくまでヒントとしてお使いいただくにとどめておいてくださいね。

4日連続で、執筆の秘訣を花田編集長にお聞きしています。第3回(2018年1月18日更新)もお楽しみに!

第1回:「バディ小説」の極意とは?