カテゴリ: エブリスタ編集部

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〆切まであと二週間と少し!
「応募したけど、もっと魅力的に書けないだろうか?」
「今から急いで書こうと思うけど、どんなことに気をつければいいの?」
そんなあなたのために、文春文庫編集長 花田朋子さんに執筆の秘訣を聞く企画、第4弾です。
今回は「バディ小説『お仕事』のコンテストを開催した理由」です。
今回のコンテストについてはもちろんのこと、第2回以降のコンテストに向けてのヒントも!

バディ小説『お仕事』のコンテストを開催した理由

 様々なバディ小説がありますが、やはり圧倒的に思いうかぶジャンルとしては
刑事や探偵が登場するミステリーでしょうか。「相棒」というそのものズバリの名ドラマシリーズもありますが、「謎解き」とバディ小説というのはとても相性がいいと思います。
 物理学者、銀行員、新聞記者、医者、シェフ、いろいろな職業の名探偵がいますが、大体においてその個性あふれるキャラクターと一般人をつなぐ〈調整役〉としてのバディが登場することが多いです。実際にある職業でも、自分で考えた架空の仕事でも、読者の興味をかきたてるようなその【お仕事】ならではの道具、訓練、ルーティンなどのディテールを大事にしてください!

 ちなみに第2回のお題は【ロケーション】です。たとえば京都や鎌倉といった、旅情あふれる地方都市でもいいし、近未来の戦争地帯や、廃校、孤島、パラレルワールドといった、ぶっとんだ場所ならではのバディものも面白いと思います。もちろん、もっと身近な場所であっても構いません。この場合も、その場所ならでは情景が浮かぶように描く工夫が大事です。

 第3回は【キーアイテム】です。実は、「個性」を出すのが一番難しいような気がします。たとえばお仕事とつなげて、その仕事に必要な道具にしてもいいし、普通だったら絶対手を組まないような二人が、そのアイテムの存在によってバディにならざるを得なかったり。うまくストーリーに絡められれば逆に何でもありのお題だと思います。


4日連続で、執筆の秘訣を花田編集長にお聞きしました。
皆さんの創作活動のヒントにしてくださいね!


第1回:
「バディ小説」の極意とは?
第2回:新人賞で落ちる作品にありがちなことって?
第3回:お仕事小説にはどんな要素が必須なの?

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〆切まであと二週間と少し!
「応募したけど、もっと魅力的に書けないだろうか?」
「今から急いで書こうと思うけど、どんなことに気をつければいいの?」
そんなあなたのために、文春文庫編集長 花田朋子さんに執筆の秘訣を聞く企画、第3弾です。
今回は「お仕事小説に必須の要素」です。
人気のお仕事小説がこの要素を満たしているか、読者としてチェックしてみるのも面白いかも!
お仕事小説に必須の要素①よくある物語に終わらない/どこかに過剰なものを潜ませる
 全体的にバランスが取れているけれど、「既視感がある、よくあるオチの物語」よりも、ある特定のジャンルへの知識が突出していて、そのディテールを描けているほうが、「お仕事小説」としては面白くなります。
 たとえば料理人が主人公の場合、「このテクニックを使うと料理が格段に美味しくなる」アイディアを盛り込むと、同じ題材を扱っている人よりワンステップ上の印象を与えられます。

お仕事小説に必須の要素②読者の予想を裏切る設定
 実はものすごくネクラなのに、作る歌はバカバカしい歌手。PCのない環境で育ったシステムエンジニア、動物の苦手な獣医……一見ありえない設定を、説得力のある物語として展開できればそれだけでも大成功。一方、「いかにもありそう」なキャラクターも物語の中でバリエーションを作り出すのに必要なテクニックです。


4日連続で、執筆の秘訣を花田編集長にお聞きしています。第4回(2018年1月19日更新)もお楽しみに!

第1回:
「バディ小説」の極意とは?
第2回:新人賞で落ちる作品にありがちなことって?

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〆切まであと二週間と少し!
「応募したけど、もっと魅力的に書けないだろうか?」
「今から急いで書こうと思うけど、どんなことに気をつければいいの?」
そんなあなたのために、文春文庫編集長 花田朋子さんに執筆の秘訣を聞く企画、第2弾です。
今回は「新人賞で落ちる作品にありがちなこと」です。
あなたの作品もチェックしてみてくださいね!

新人賞で落ちる作品にありがちなこと①「視点がバラバラ」
一番書きやすいのは一人称小説ですが、難点は主人公目線でしか物事を描けなくなること。どうしてもうまくいかないと、視点人物を変えることになりますが、変わりすぎると小説としてはどうしてもわかりにくくなります。視点人物はせいぜい3人に限定して、その範囲内で物語を展開してみてください。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと②「書きやすいところだけ書いて、取材・下調べが必要なものを省く」
 新人賞において差が出るのは、物語の大枠ではなく、ディテールがどれだけうまく書けているか。特に今回のように「バディ」「お仕事」というお題が決まっているときは、そのディテールをどう書くかが大きな違いになります。想像力はとても大事ですが、それを過信せずに、資料にあたったり、実際に舞台となる場所に行ってみるだけでも、より物語に厚みと空気感が出ます。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと③「ひとつの体験・エピソードだけで書く」
 自分のリアルな体験・エピソードはリアリティを出すために重要な手段です。しかし、それをそのまま書くだけでは広がりがなく、「こういうこともある」という感想で終わり、になってしまうかも。そこで想像力を駆使して、「あの時はああだったけれど、違う条件であればどうなっただろう」と考えてみたり、「自分が聞いた話はここで終わっているけれど、もし続きがあったとしたらどうなっているだろう」と考えを膨らませてみると、より楽しめる物語に発展します。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと④「キャラクターの思考回路が一方的」
たとえば登場する敵役を、主人公側から見て「一方的に悪」として語ってしまうと、ちょっと子供っぽい小説になります。悪役には悪役の事情があることを匂わせるだけでも、ぐっと物語に深みが出ます。

新人賞で落ちる作品にありがちなこと⑤「人物を出しすぎてそれぞれのキャラクターが立たない」
話の展開のために登場人物を出しすぎて、それぞれのキャラクターが薄くなってしまう、というのも新人賞では陥りがちな罠です。印象が似たような人物が多いのはマイナスになります。必要な人物に絞り込んで、なるべくきちんと造形しましょう。


もちろん、ここに上げた条件に当てはまっていたとしても、作品に大きな魅力があれば受賞もあり得ますので、あくまでヒントとしてお使いいただくにとどめておいてくださいね。

4日連続で、執筆の秘訣を花田編集長にお聞きしています。第3回(2018年1月18日更新)もお楽しみに!

第1回:「バディ小説」の極意とは?

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もう皆さんは応募されましたか?

〆切まであと二週間と少し!
「応募したけど、もっと魅力的に書けないだろうか?」
「今から急いで書こうと思うけど、どんなことに気をつければいいの?」
そんなあなたのために、文春文庫編集長 花田朋子さんに「バディ小説の極意」を聞いてきました!

バディ小説の極意1:主人公と相棒の「凹凸感」

 社会的な能力は欠如しているけれど、特殊能力に長けた主人公と、それをうまく補う社会性があるけれど、平凡な自分にコンプレックスのある相棒……というように、「似たもの同士」よりも対照的な二人を配置すると、物語に起伏が生じやすくなります。


バディ小説の極意2:相棒になる過程をドラマチックに描く

 最初から相棒として共通認識を持てている二人を配置するのか、最初は反発しあっているけれど、次第にお互いを認め合うようにしていくか。これだけでも物語の展開や構成は変わっていきます。
 また、ただの相棒というのではなく、ある瞬間はベストパートナーだけれどふだんは犬猿の仲、というように、その関係性にディテールを持たせるのも、「バディ」の一つのパターンといえます。(たとえばルパン三世と銭形警部のように)


ルパン三世と銭形警部もバディ! 言われてみれば納得ですね。
本日より4日連続で、執筆の秘訣を花田編集長にお聞きします。第2回(2018年1月17日更新)もお楽しみに!

こんにちは、エブリスタ編集部です。
竹書房文庫より発売されました、エブリスタ発のホラー短編集
「ためしに怪談きいたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」





エブリスタで開催された「リアル怪談コンテスト」の中から特に震えた上位24話を厳選収録しています。
この短編集に後書きとして掲載されている、匿名の文章を特別に全文公開いたします。

これを読んだら、眠れなくなるかも…!?

 幽霊に関わる恐怖体験をした方は、あなたの周りで何人いるだろうか。おそらく少ないと思う。故に幽霊などいない、恐怖体験など良くできたネタだと言う人がいる。

 実際に私も、どちらかといえば「信じていない側」だったと思う。しかし今回のコンテストに投稿された五五八もの応募作品に目を通している内、改めて認識を変えることとなった。


 大賞作品となった『私と彼女とあの女』。

 深夜の病院内というシチュエーションが、まるで現世から逸脱されたかのような雰囲気を醸し出す。そのような不可思議な世界に迷い込んでしまえば、常識では考えられない出来事も起こりうるという『リアル』がそこにある。 

 私は幼少時代に身を震わせながら読んだ怪談に登場した『山地乳(やまちち)』という化け物の事を思い出した。その化け物は眠っている人間の寝息を吸い取り、その様子を誰かに見られていれば寝息を吸われた者の寿命が延びるが、誰にも見られていなければ、その者は翌日に死んでしまうと言う。

 幽霊や化け物といった類は、つまる所『認知するかしないかの違い』であるように思う。何も見えない者からすれば何も見えず、何も感じない者からすれば何も感じない。けれど作品を読んだ私やあなたは、既に怪異の存在を認知してしまっている。舞台へ立たされ、幕は上がったのだ。


 実際に私が大賞作品を読み上げた時の話である。コンテスト締め切りが近付き忙しさのピークに達していた私はずっと集中して応募作を次々と読んでいた。そのとき、私はデスクから聞こえる「かちかち」という物音が気になって仕方なかった。

 自分が神経質になっている事に驚く。シャープペンシルの芯を出すような、マウスをクリックするような矮小音。普段なら気にもとめない物音が、どうにも煩わしく感じて仕方がなかった。

 真剣に審査を行っている最中、断続的に続く音。かなり我慢をしてきたつもりだが、遂には辛抱出来なくなって声を発する。

「すみませんが、さっきから――」

そこまで言いかけて顔をあげた瞬間、私は気付く。

 編集部内に私以外、誰もいないという事実に。

 窓の外は夜の帳が下りていた。それだけ集中して読んでいたという事だろう。

 しかし、けれども、それならば。

 私が先程まで聞いていた、あの「かちかち」という音は何だったのだろうか。

 時計の針が動く音? 違う。誰かが私を驚かそうとした? 違う。

 困惑する私を、まるで嘲笑うかのように耳元で「――か ち」という音がした。

 私は怖くなって、カバンを抱えたまま慌てて会社を出たものである。今では遅くまで残業して会社に一人取り残されないよう努めている。


 準大賞である『友達が事故物件に住んだ時の話』にしてもそうだ。不動産屋は事故物件を告知しなければならないと聞くが、孤独死や事故死などといった事件性のないものに関しては事故物件に該当しないという。また不動産屋が関知するよりも以前に何らかの事故事件が起こっていたとしても、それは知り得なかった事とされるのではあるまいか。

 つまり私が言いたいのは、今あなたのいる場所が本当に安全とは言い難いという事だ。それは当然、土地だけに限らず人に対してでも言える事だろう。あなたが友人だと思っている人物、恋人だと思っている人物、親だと思っている人物……それらが果たして『本物』であるという証拠がどこにあるか。

 先述した『認知』は既に完了されている。これらの作品を読み上げる前と後とでは、既に世界は変わってしまっているのだ。


 あなたが主役の恐怖体験は、もう始まっているのかもしれない。


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